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読まなきゃ損!日本チャンピオンが語るサイフォンコーヒーの話

サイフォンチャンピオンである吉良剛さんからの寄稿です。

素晴らしすぎる記事なのでぜひ読んでみてくださいね。


みなさん初めまして。カフェ ド アン ダニエルズ代表の吉良剛と申します。

早速ですが、サイフォンコーヒーってご存知ですか?

名前は知らなくっても一度は見たことはあると思います。

町の喫茶店で渋いマスターが理科の実験道具みたいなものを使って
珈琲を淹れている姿を見たことないですか?

 

そう、その抽出器具こそがサイフォンです。

古き良き日本の喫茶文化の中で生まれ育ち、
喫茶文化を支えてきた抽出器具こそが、サイフォンコーヒーなのです。

現在コーヒー業界に流れているサードウェーブという流れの中でも注目され
海外でも注目を浴びている抽出器具でもあります。

 

私の店では珈琲はサイフォンとエスプレッソマシーンを使いご提供しております。

サイフォンの熱源ハロゲンランプを使った光サイフォンを用いており、
下から照らされた光は幻想的な雰囲気を演出してくれます。

ご年配の方々は懐かしがってくれますし、若い世代の方は珍しがり大変興味を持ってくれます。

 

これから、

  • サイフォンコーヒーを知らない方
  • 興味はあるけど詳しく知らない方
  • サイフォンコーヒーをやってみたいという方

に向けて簡単な説明からマニアックなところまで掘り下げてお伝えしていきます。

 

サイフォンコーヒーとは?

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サイフォンコーヒーとは、1840年イギリスのナピアーさんという方の発明によって生まれた
蒸気圧を利用した抽出器具です。

先ずは器具の紹介から。

  • ロート・・・上部分のガラスパーツをロートと呼びます。
  • ろ過器・・・ロートの底部分のパーツは、ろ過布という布を付けたろ過器と呼びます。
  • フラスコ・・・下部分の丸いガラスパーツをフラスコと呼びます。
  • アーム・・・フラスコを支えるスタンド部分をアームと呼びます。
  • 沸騰石・・・ろ過機からつながる鎖の部分を沸騰石(ふっとうせき)と呼びます。
  • 光サイフォンテーブル・・・オレンジに輝く部分がハロゲンランプを熱源とした光サイフォンテーブルです。

 

サイフォンコーヒーの原理・仕組み

ライトに説明するとこんな感じ

各パーツがどのような役目を果たすかというと、
フラスコ部分に沸騰前のお湯を入れ、サイフォンテーブルにセットします。

次にろ過機をセットしたロートに挽いた豆を入れ、
写真のようにセットし加熱します。

沸騰石が沸騰を知らせてくれたら、
ロートをフラスコに差し込みお湯を上げていきます。

お湯がロート部分に上昇したら珈琲豆とお湯を混ぜ合わせ、
15秒から30秒ほどそのままにして抽出を行います。

15秒から30秒たったらランプを消し、もう一度混ぜ合わせます。

そうするとロート部分の珈琲がフラスコへ移動します。

豆はすべてろ過機が受け止めてくれるので、
フラスコ内にすべて移動したら出来上がりです。

簡単に説明するとこんな感じです!

 

もう少し詳しく説明すると

サイフォンコーヒーはフラスコ内の湯を加熱し沸騰させることから始まります。

次にロートをフラスコに差し込むことでフラスコ内を密閉状態にします。

密閉状態のフラスコを加熱し続けますからフラスコ内の空気は膨張します。

膨張した空気はフラスコ内のお湯を押しのけていき、
逃げ場を失ったお湯はロートをつたい上昇するというわけです。

上昇したお湯と珈琲豆を混ぜ合わせ一定時間漬けることで珈琲を抽出していきます。

抽出後、熱源からはずすことで膨張した空気が元に戻ろうと収縮するため
今度はフラスコ内に引き込むようにして戻っていきます。

 

サイフォンコーヒーの特徴

サイフォンコーヒーはこのように常に熱源にかけた状態で抽出するために
非常に出来上がり温度が高いです。だいたい80℃後半になります。

ドリップなどは出来上がり温度が70℃後半から80℃前半のため約10℃近く違うのです。

そしてこの出来上がり温度が高いのが日本の喫茶文化で育ってきた
一つの要因ではないかと私は考えます。

 

それはなぜか?

 

日本の食文化に置いて『熱い、HOT』という認識が
欧米にくらべて高い温度帯を示すからです。

お茶やお味噌汁を飲む時を思い浮かべてみてください。

湯気の立った湯飲みやお椀をフーフー息を吹きかけ、
少しづつ冷ましながら時間をかけて飲みませんか?

日本の食文化では熱いものは
冷ましながら少しずつゆっくり楽しんできました。

一方、欧米ではカフェラテやスープなどは冷ますことなく直ぐに召し上がりますよね。

おそらく10℃~15℃ほど違うのではないでしょうか?

 

喫茶店はお友達や家族で過ごす社交の場。時間をかけて利用します。

私の住んでいる三重県桑名市は、
三重県でも最も上に位置しており愛知県に近い場所にあります。

ですから今でも休みの日の朝は家族で喫茶店に行ってモーニング!!が常識です(笑)

少し話はそれましたが、
このように長い時間を過ごす喫茶店で飲む珈琲にとって
提供温度が高く時間をかけて飲むことのできるサイフォンコーヒーは
うってつけだったのではないかと考えます。

 

また、サイフォンはガラスでできており、取り扱いもデリケート!

豆を混ぜる撹拌(かくはん)という作業も非常に微妙な力加減が必要となります。

このようなところも手先の器用な日本人には相性が良かったのかもしれませんね!

 

サイフォンコーヒーの原理・仕組み

まずフラスコ内のお湯を加熱し沸騰をさせていきます。

 

沸騰が確認できたら豆の入ったロートをフラスコにセットし、
フラスコ内を密閉状態にします。

密閉状態のフラスコ内のお湯が加熱されることによって、
フラスコ内の空気が膨張します。

湯が沸いて水蒸気も発生しているので圧力はさらに高まっていきます。

膨張した空気が圧力を増すことによって、
フラスコ内のお湯にもかかり押しのけていきます。

押しのけられたお湯はロートをつたいロート内の豆と接触します。

 

すべてのお湯が上げるわけではありませんので、
あがりきらないところまでお湯が移動したら豆とお湯を混ぜ合わせます。

この混ぜ合わせる作業を『撹拌(かくはん)』と言います。

最後にもういちど撹拌を行いますので、
一回目の撹拌のことを『第一撹拌』と言います

 

第一撹拌がおわったらしばらくその状態をキープします。

この時間を浸漬(しんし)時間と言います。

この浸漬時間についてはまた詳しく説明しますが、15秒から30秒程度です。

このとき加熱は続けています。

しかしながら沸騰させてはいけないので(理由はまた後程)
火力を少しおとし上昇している状態をキープします。

 

浸漬時間をはかったら加熱を止めます。
そしてもう一度撹拌をします。

この撹拌を『第二撹拌』と呼びます。

 

加熱をやめることでフラスコ内の空気の温度も下がりフラスコ内の圧力も下がります。

圧力が下がることで今度はフラスコ内に液体を引き込む力が働きます。

引き込む途中にろ過器が設置してあるので豆をせき止め、
ろ過をしてサイフォンコーヒーができあがります。

 

もう少し補足を。

 

浸漬法(しんしほう)と、透過法(とうかほう)

サイフォンの抽出理論は『浸漬(しんし)法』と言います。

豆をお湯に浸して漬けるためこのように呼ばれます。

皆さんが良くご存じのペーパドリップは『透過(とうか)法』と呼ばれています。

 

浸漬法と透過法の味の出方の違いはまたお話ししますので、
もう少し浸漬法についてお話しします。

 

この浸漬法は紅茶や日本茶と同じ抽出方法です。

豆を浸して味を出すために蒸らしと抽出を同時に行う抽出方法のため
味がしっかりと出やすいのが特徴です。

珈琲にとって蒸らしというのは重要な作業ですので
蒸らしのムラの出ない浸漬法はそういった意味では優れています。

 

「じゃあみんな浸漬法で出せばいいのに?」

 

なんて疑問が出てくるとは思いますが、
そうはいかないのが抽出の難しいところ!

味がよく出るということは、余分な味も出やすいということなのです!

 

珈琲にとっての余分な味とは、エグみや渋み。

 

珈琲という液体は、珈琲豆にふくまれる可溶性固形分がお湯にとけだしてできあがります。

珈琲豆にふくまれる可溶性固形分は、約3分の1と言われています。

さらに抽出で引き出すことができるのは、60%~80%と言われています。

つまり、10gの豆から引き出すことのできる可溶性固形分は、約2~3gとなります。

 

このことから、浸漬法では長くつけすぎると濃くはなりますが
味わいは非常に渋くエグみが残ることとなります。

この味わいをコントロールするのが浸漬時間です。

うまみを最大限に引き出し、
渋みエグみの出ることのない時間を見極めることが大切です。

 

少し難しい話になりましたが
抽出を知るうえで原理原則を知ることはとっても重要な事です。

すべてにおいて理由はあります。
それを考え、追い求めるのがプロなのかなと思います。

 

サイフォンコーヒーとドリップコーヒーの違い

先に簡単に言ってしまうと、
サイフォンコーヒーはしっかりとした味わい(濃い)になりやすく
ドリップコーヒーはすっきりとした味わいになりやすいです。

これだけだと面白くないので、もう少し詳しくお話しましょう。

 

この要因は二つの抽出方法の理論の違いが大きく影響しています。

サイフォンは先ほども述べたように、
浸漬法という抽出方法のため常に豆はお湯につかっている状態のため、
蒸らしと抽出を同時に行っています。

そのため未抽出になりにくく
しっかりと味を引き出すことが可能となります。

 

浸漬法を用いる抽出方法としては他にも

  • フレンチプレス
  • エアロプレス
  • 紅茶
  • 日本茶

などがあげられます。

 

一方ドリップは透過法という抽出方法のために
先ず蒸らしを行って豆の中にお湯を染みこませ飽和状態を作ってから抽出にはいります。

そのため蒸らしの作業が不十分であったり、
蒸らしにお湯を使いすぎると抽出用のお湯が少なくなり

未抽出の状態ができやすくなります。

 

透過法を用いる抽出方法としては他には

  • ネルドリップ
  • コーヒーメーカー
  • エスプレッソ

も含まれます。

*エスプレッソはさらに圧力を作為的にかけて抽出しますので透過法の一種として紹介させていただきます。

 

コーヒーを抽出するうえで重要な要素【蒸らし】

ここで重要となってくるのが『蒸らし』という作業。

珈琲豆は砕いて顕微鏡などでみてみると蜂の巣のような状態になっており、空洞があります。

 

珈琲を抽出するうえでは先ずここにお湯を染みこませて飽和状態をつくりだし、
珈琲の成分である可用性固形分を溶け出しやすい環境を作ってやることが重要です。

 

この蒸らしが不十分ですと、抽出用に注いだお湯が抽出ではなく、
蒸らしの不十分の所に染みこむだけになってしまします。

透過法は上からお湯を注ぎ下に抜けていく間に抽出する一方通行の抽出方法ですから
ドリッパーの中にお湯が滞在する時間が短いため
蒸らしが十分になされ飽和状態を作り出された環境が重要になるわけです。

 

よくドリップをされる方が薄い珈琲しかできないといわれるのはこのためです。

蒸らしに使うお湯の量が多すぎるか、十分にしみこませるための時間が短いかです。

 

ドリップバッグにも使える、標準的な蒸らし時間

ドリップの場合に使うお湯の量は一人前160ccを目安とすると約20cc、
20ccを豆全体に注いだら約20秒から30秒蒸らし時間をおいてください。

それから抽出用のお湯140ccを注いで頂ければしっかり抽出できます。

この時家庭用のスケール(電子はかり)の上に置いて注ぐと良いですよ!

1cc=1gで換算して抽出を行っていただくと良いです。

こうすることで余分なお湯を使うこともなく、
ちょうどいいところでドリッパーを外すということも必要なくなります。

この方法はカップの上に置いて抽出するドリップバッグにも使えるのでお試しください。

 

少し難しくなってしまったかもしれませんが、

ドリップ(透過法)一方通行の抽出のため
お湯の通り道の環境が整ってないと味が出にくいですよ!

っということです。

 

サイフォンはというと、
浸漬法のため豆は常にお湯に漬かった状態のため蒸らしは十分に行えます。

しかしながら常に漬かった状態のため味は出やすいのですが、
余分な味まで引き出してしまう過抽出の状態にもなりやすいです。

サイフォンコーヒーが良く苦いと言われるのは、このようなところが要因としてあげられます。

 

ですから

サイフォン(浸漬法)は味は出やすいですが、
漬けている時間を見極めないと余分な味が出てしまいますよ!

っということになります。

 

このような理由から最初に述べましたサイフォンはしっかりした味わい、
ドリップはすっきりした味わいになるということをご理解いただけたでしょうか?

 

どの抽出器具も一長一短ですので、
ご自身の好きな味わいを楽しめる器具を選ばれるのが良いと思います。

またその日の気分や飲む時間によって抽出器具を変えて珈琲を楽しめたら最高ですね!!

 

サイフォンの淹れ方とコツ

サイフォンの淹れ方についてもう少し詳しく、そしてコツについて。

詳しく書いてるのが読みにくい方もいると思うので、先にまとめを。

  1. 豆とお湯をきっちり計量する!
  2. お湯をしっかりと沸かす!
  3. 第一撹拌は手早くスムーズに!
  4. 浸漬時間は正確に測る!
  5. 第二撹拌でガスをしっかりと抜く!

では詳細どうぞ。

 

サイフォンコーヒーのレシピ

一人前の出来上がりを150ccと設定したとき、
15gの豆、160ccのお湯をつかい抽出します。

10ccは豆に浸透してしまいますので
出来上がりより10cc多めの湯をつかって抽出を行います。

 

サイフォンコーヒーの淹れ方

ここに、サイフォンの特徴があります。

豆、お湯の量をはじめに計測してから抽出することは
安定した味を出すのにブレが少なくなります。

ドリップやエスプレッソなどで、
「ちょうどいいところで抽出をやめてください!」
って言われたことはないですか?

これって結構難しいですよね!

最近ではドリップも計量しながら抽出しますし、
エスプレッソも抽出した液量を量りながら行うのが主流になってきたのも
味の安定についての意識が変わってきたからだと思います。

 

では計量が終わったら豆をロートに入れ火にかけたフラスコに
ゴム部分を乗せるようにしてスタンバイしてください。(まだ差し込まない)

お湯がしっかりと沸いたのを確認してからロートをセットしてください。

このとき早く飲みたいからといって、
完全に沸騰していないのにフラスコに差し込むのは厳禁です!

フラスコ内のお湯は大体65℃ほどあれば、ロートにあがることができます。

しかしそのようなお湯では低温抽出となり、
珈琲の可溶性固形分は溶けにくく少しエグみのある味に仕上がります。

珈琲の可溶性固形分の溶け出しやすい温度は93~96℃ですのでロート内をこの温度帯に持っていくのは重要な事です。

 

ここで一つ、疑問が起きませんか?

 

沸騰したお湯を使うのだからロート内も100℃のはずでは?

この疑問を持たれる方は勘がよいですね!

実は沸騰させたお湯(約100℃)のお湯もロートをつたい
ロートの上部分に移動したときには約10℃下がります。

ってことは90℃じゃないか??ってなりますよね(笑)
大丈夫です。

 

サイフォンは加熱しながら抽出するため、
火力のコントロールによって熱を伝えロート内を93~96℃に保つことが可能なのです。

しかしここで大事なのは強火で加熱し続けるとロート内のお湯が100℃を超えてしまうので、
中火くらいに抑えてわかないようにコントロールします。

ちょっと難しいかもしれませんが
珈琲という飲み物は、珈琲豆とお湯だけを使って出しますから
当然この温度管理は重要な要因となります。

 

次に、上がったお湯と豆を混ぜ合わせる第一撹拌を行います。

この撹拌という作業、
多くの方はこの作業によって味を引きだしていると思われていますが少し違います。

 

ロート内に入った豆に下から上がってきたお湯と接した時点から抽出は始まります

するとどういうことが起こるかというと、
豆も層になっていますから層の下部分はお湯に触れているのに
上部分は触れていないということが起きます。

このまま放っておくと下部分は抽出がどんどん進み、
上部分は抽出が始まりません。

この下部分と上部分との抽出のタイムラグをなくすために
撹拌というものを行います。

あまり弱くてもダメですし、強すぎても余分な味が出てしまいますので
手際よくスムーズに行うことが大切です。

強く混ぜすぎると豆に圧力がかかり過ぎ、
余分な味を抽出する原因になってしまいます。

 

第一撹拌が終了したら浸漬時間を量ります。

浸漬時間は豆のメッシュ(挽き目)によって変えると良いでしょう。

細挽きの場合は粒が細かいですから、
お湯との接触面が増えるため味が出やすくなります。

そのため15秒から20秒くらいが理想です。

中挽きの場合は20秒から30秒ぐらい

粗挽きの場合は30秒から45秒ぐらいが理想です。

 

もう少し突き詰めるなら焙煎度合によっても浸漬時間を変えてみると良いです。

深煎りの豆は豆内の組織の空洞が多いためお湯がしみこみやすいので短い時間

浅煎りの場合は豆の組織が締まっているので長い時間をかけると良いです。

 

これといった正解はありませんので、
自分の好みに合う挽き目、浸漬時間を見つけることが大切ですし
色々なパターンで抽出できることがサイフォンの魅力かと思います。

 

浸漬時間を測り終えたら、火からはずしもう一度混ぜる第二撹拌をします。

 

第二撹拌は味を出すというより、ろ過をスムーズに行うために行います。

豆には二酸化炭素が含まれておりますので、抽出の際に炭酸ガスが発生し膨らみます。

このガスが浮力を生み出し、ろ過にすすむ液体の落ちる時間に影響を及ぼします。

 

どういう事かというと、ここでも浸漬法の理論がでてきます。

 

豆とお湯が接触している間に珈琲が抽出されることは前に述べたとおりですが、
上ロートからフラスコにろ過され移動する時間が
第二撹拌をしっかりとすることによって仮に15秒かかるとしましょう。

この時の出来上がる味を正とするならば、
第二撹拌をせず、浮力をもったままでろ過をした時30秒かかったとします。

このような場合、
第二撹拌を行った場合と比べ15秒も豆とお湯が接触してしまいますよね。

この15秒が過抽出を起こし余分な味を引き出してしまうのです。

 

また珈琲豆は生鮮食品ですので、焙煎したてと一週間後、
二週間後では豆に含まれる二酸化炭素の量は違います。

このガスの含有量によってのろ過の差をなくすためにも第二撹拌は必要となってきます。

 

長々と書きましたが、改めてまとめると、

  1. 豆とお湯をきっちり計量する!
  2. お湯をしっかりと沸かす!
  3. 第一撹拌は手早くスムーズに!
  4. 浸漬時間は正確に測る!
  5. 第二撹拌でガスをしっかりと抜く!

 

そして全体を通じての作業をスムーズに行うことができるようになると味も安定してきます。

 

で、一番大事なのは「美味しくなれ!!」と念じてやることかもしれません(笑)

 

ここに書いたのはコツ程度のものです。

もっともっと一つ一つの作業に意味があり、技術があります。

このことは皆様からのリクエストがありましたらマニアック編として書けたら良いですね!

 

サイフォンコーヒーの魅力

最後に私の思うサイフォンの魅力について書きますね。

 

サイフォンは古き良き日本の珈琲文化の中で育った抽出器具。

この抽出器具は、
ガラス製で取り扱いを間違えると割ってしまうし、撹拌作業も非常にデリケート。

なんか良いことはあんまり少なそうな器具ですが、そこに私は魅力を感じる。

扱いにくいものを扱ってやろうと!

ガラス製の器具ですから取扱いは繊細です。
どこかにあたれば音も鳴る。

だからこそ所作が大事で淹れてる作業が美しくないといけない。

所作が美しいことが美味しいものにつながる。
これって物の作り手として最高の喜びを感じまよね。

私にとっての抽出器具がサイフォンでした。

 

サービスマンとして所作で「魅せる」ことも美味しさの秘訣

私が大好きで尊敬するバリスタが東京にいます。
COFFEEHOUSE NISHIYA オーナーの西谷 恭兵バリスタです。

私の知る限りもっとも魅力的にカウンターに立つバリスタです。

もちろん他にも美味しい珈琲を淹れ、
尊敬するバリスタはたくさんお見えになりますが
魅力的という部分では私の中で彼が間違いなくトップです。

美味しいものを提供するのは作り手として当たり前。

カウンターという場所、お客様を前にして淹れるわけですから
淹れる作業を見て楽しんで頂くのもプロとして大事な事。

必然的に所作はきれいでなくてはいけないし
所作で魅了させなければいけないといつも考えています。

そんな考えの中で彼と出会い彼の所作をみたときには本当に感動しました。

サイフォンコーヒーは淹れ方が特殊で魅力的に映るもの。

さらに所作も美しければ尚のこと他の抽出器具より魅了できるでしょう。

所作に興味のある方は是非一度、彼のお店を訪ねてみてください。
彼はサイフォンではなくエスプレッソですが、
きっと美味しい珈琲とプラスαを頂けますよ!

 

サイフォンコーヒーはクリエイティブ性に富む抽出器具

味の面では、豆の挽き目と浸漬時間で一つの豆から
色々な味を引き出すことのできるクリエイティブ性。

「今日は少し軽めに淹れてくれる?」
っと言われればメッシュを粗くするのか?浸漬時間を短くするのか?

こんなことを考えながら
お客様のお好みに合わせていくことがやりやすいこと。

また、さまざまな種類の豆を淹れるにしても
ロートごとに豆の種類を変えてあげれば容易に淹れられますし
さらにそれを連続して抽出することも可能です。

他の抽出器具でもできますが、スピードという面では
サイフォンに分があるように感じます。

 

サイフォンコーヒーはアイスコーヒーでも別格

これはめちゃめちゃ個人的な意見ですが、
サイフォンで淹れたアイスコーヒーは別格です。

お湯量を減らし、豆量を増やすことで濃度のある抽出液を作り、
お客様の前で氷がたっぷり入ったグラスに注ぎます。

お客様の目の前で注ぐパフォーマンスも喜んでいただけますが
目の前で注ぐことにより客席にコーヒーの香りが広がり、
アイスコーヒーなのに香りが広がることにすごく驚かれそして喜ばれます。

味わいもしっかりとした苦味とボディーを引き出しつつも
サイフォン特有の後味のキレを感じることができます。

是非一度淹れたてのサイフォンアイスコーヒーを試していただきたいですね。

 

時代が変わっても愛されるサイフォンコーヒー

この抽出器具は今のカフェラテブームと同じように
団塊の世代と呼ばれる方々の若かりし頃、
ご家庭でサイフォンコーヒーを淹れるということがはやったそうです。

そして時代は流れサイフォンの熱源もアルコールランプから
ハロゲンランプが主流になってきたことにより
様々な場所で淹れることが可能になってきました。

私は披露宴での出張バリスタの仕事もさせていただいてます。

その中で、いつも年配の方々は懐かしがり、
若い方々は興味津々でサイフォンコーヒーをお楽しみいただいております。

このようなことも私にとってサイフォンコーヒーを続ける魅力となっています。

私は2005年と2008年にサイフォンのタイトルを取ることができました。

タイトルフォルダーとしてこれからもサイフォンの魅力、
抽出器具としての優秀さを伝えていくことが使命と考えています。

 

珈琲の世界でもいろいろと流行や波はあります。

トレンドを知っておくことは大事な事ですが
いつまでも変わらない物、そしてそれを進化させていくということも大事であると私は考えます。

ここまでお話しさせていただきました事で
サイフォンに興味を持たれた方がいらっしゃったなら
是非一度サイフォンコーヒーを飲んでみてください。

そして淹れてみてください!

 

最後に

「松ペディア」編集長の松本君からの依頼で
今回サイフォンコーヒーについてたくさん話させていただきました。

私にとってもサイフォンコーヒーを見直す良い機会となりましたし
サイフォンコーヒーの魅力についても再確認できました。

このような機会を頂けたこと本当に感謝いたします。
ありがとう。

 

私は生涯現役でいれることがこの仕事、そして独立した大きな理由です。

そして生涯現役でいることが私の目標であります。

歳を重ねるごとにカウンターに立ち続ける時間は短くなるかもしれませんが、
この目標は必ず達成できるよう日々精進していきます。

三重県の桑名市という城下町で商売人がたくさんいるとっても魅力的な街で
これからもずっとカウンターに立って珈琲淹れてますので
皆様機会がありましたら是非とも当店にお越しください。
魂込めたサイフォンコーヒーお淹れ致します。

最後までお読みいただきありがとうございました。

最後の最後に私の信念を。

【Coffee is Power!! ~珈琲は力なり~】

Café de UN Daniels 代表:吉良 剛

 

店舗情報

ホームページ:http://www.cafedeun-daniels.com/
Facebookページ:https://www.facebook.com/cafedeun.d/

店舗名:Cafe de UN Daniels(カフェ ド アン ダニエルズ)
開業:2011年4月11日
代表:吉良 剛

事業内容:
カフェの運営、焙煎豆販売、焙煎豆業務用卸
ドリンク、フードメニューのコンサルティング
サイフォン、エスプレッソを中心としたコーヒー抽出技術指導、サービス指導

所在地:三重県桑名市大央町49-6
TEL&FAX:0594-23-7030
E-MAIL: cafedeun-daniels@hb.tp1.jp

代表経歴:
‘95年 UCCフードサービスシステムズ株式会社入社
名古屋、京都、東京にて店長、ブロックマネージャーを務める
‘07年 有限会社 壱番窯入社
カフェマネジャーとしてCafe de UNを立ち上げる
‘11年    独立しCafe de UN Daniels開業

代表賞歴:
‘05年 Japan Barista Championship (サイフォン部門)優勝
‘08年 UCCコーヒーマスターズ(サイフォン部門)優勝
‘09年 UCCコーヒーマスターズ(エスプレッソ部門)4位(中部地区優勝)

代表資格:
SCAJ公認コーヒーマイスター
UCC上島珈琲株式会社公認アシスタントコーヒーアドバイザー
調理師免許
名古屋コミュニケーションアート専門学校 珈琲講師
名古屋文化短期大学 珈琲講師

 

◆サイフォンコーヒー関連商品紹介◆